どれが正解?ワイングラスの正しい持ち方

ワインは嗜好品。
ワインに興味を持ち始めた頃は、なにかとワイン=見えないルールやマナーが厳しい、という考えに囚われてしまいがちですよね。
特に、礼儀作法を大切にする我々日本人にとっては、より敷居の高いものと捉えられがちです。

しかし、実はワインというものはコミュニケーションツールの一つで、
人と人の間のコミュニケーションの中で楽しみ、そしてその楽しい一時の中で味わうのが一番美味しい。
というのが私の持論です。

ですので、今日のテーマである「ワイングラスの持ち方」はあくまで少し知っていると役に立つ、程度で読んでください。
読んでいただいたうえで、ワインを難しく考えすぎずに、皆様がスタイリッシュにワイングラスを扱えるようなれたら嬉しいです。

ワイングラスの持ち方にはどんな種類があるの?

ワイングラスの持ち方として、一般的には下記の2通りがあります。

ステムを持つ

ワイングラスのステム(脚)を持つ持ち方。
日本ではこちらの持ち方をしている場合が大半です。

手の温度がワインに伝わって、味や香りに変化が生じるのを防ぐため、ステムを持ったほうがいい、と言われています。
見た目もエレガントな感じがして美しいというのもあるかもしれませんね。

また、プロのソムリエなどが本格的にテイスティングをする際はステムを持ちます。
これはソムリエのテイスティングの様式として定まっていて、グラスの横からワインの色や粘性を確認するためなんだそうです。

ボウルを持つ

ワイングラスのボウルを持つ持ち方。
欧米ではこちらの持ち方が主流です。

海外では、パーティーなど人が多い所でワインを飲む機会が多くあります。
人の多い所で移動しながらステムを持っていると、ワインをこぼしたり、ワイングラスが割れたりなどのアクシデントにみまわれる事がよくあるんです。

ボウル部分を軽く包み込むように持つ事が、安全に、美味しく、優雅に飲むために一般的なワイングラスの持ち方となっているようですね。

以上、主な持ち方としては上記の2点ですが、ほかにもワイングラスのフット(プレート)を支えるように持つ持ち方など、シーンに応じてさまざまな持ち方があります。

ワインによって変えよう!ワイングラスのおすすめの持ち方

ワインは大きく分けて赤ワイン、白ワイン、スパークリング、ロゼワインがあります。

実は、ワインを美味しくいただくためには温度という要素は欠かせません。
そのためにワインセラーという家電が存在するくらい、ワインにとって温度とは切っても切り離せない存在です。
例えば、おおよそですが、赤ワインは12℃~18℃程度、白ワインは7℃~9℃程度(甘口は5℃~8℃)、スパークリングは5℃~8℃程度、ロゼは7℃~14℃程度でのサーブが適温と言われています。

ここで注目すべきは、私たちの体温。

ワイングラスを持つ私たちの手は、もちろん(ゾンビでもない限り)体温を持っています。
一般に日本人の体温は36.6℃~37.2℃ほどが平熱です。
その温かい手でワイングラスに振れれば、私たちの熱がガラスを伝わり、その分ワインの温度が上がります。

上記で記した通りワインごとの適温があり、手の体温を伝えたほうがいいのか、伝えないほうがいいのかによって持ち方を考えましょう。
また、ワインによっては温度変化によって香りや味の変化を愉しむものもあります。
赤ワインなどは温度が高いほど渋味がまろやかに感じられるため、サーブされた直後、そのあとボウルを持つことによって温度が上がった際の変化の様を愉しむことができます。

結局どのワイングラスの持ち方が正しいの??

さて、ここまで持ち方の種類やおすすめの持ち方を紹介してきましたが、
結局どの持ち方がマナーとして正しいの?と感じられた方が要るかもしれません。

実は、ワイングラスは「マナーとして正しい持ち方は特にない」のです。

ソムリエのテイスティングの様式、いわばルールとして「テイスティングの時はステムを持つ」といった決まりごとはありますが、マナーとして基本的に「これが絶対正しい!」という持ち方は実はありません。

そのため、例えば相手がボウルを持っていればこちらをボウルを持つ、など状況に応じてその場にふさわしい持ち方をするのが一番のマナーになるのではないでしょうか。

もちろん、自分自身でこだわりをもって持ち方を選ぶのもOKです。
いろいろ試してみて、しっくり来るものを探してみるのも楽しいかもしれませんね。

これだけは注意しよう!間違いがちなワイングラスの豆知識

ワイングラスの持ち方に明確な決まりやマナーはありませんが、最低限知っておいたほうがいいこと、気を付けたほうがいいことというのはあります。

この持ち方は控えよう

貴族系お笑いコンビの方がされていたように、ステムを指の間に挟み、ボウルを下から手のひらで包むように持つ持ち方は、ブランデーグラスの持ち方であって、ワイングラスの持ち方には適していないのでご注意を!
ネタとしてなら面白いですが、フォーマルな場では控えたほうがいいですね。

ワインがサーブされる間はワイングラスに触れない

ワインがサーブされる際は、グラスには触れずに待つことを忘れずに。
ビールや日本酒などのお酌の際、受ける側が器を持つ習慣があるので、ついワイングラスも持ちたくなりますが、そこはぐっとこらえて、
ワイングラスはテーブルの上に置いたまま、ソムリエやお店の方がワインを注ぎ終わるのを待ちましょう。

ワインは飲む前にまず香りを

マナーなどを気にしているとそちらにばかり気を取られて、ついついすぐに口をつけたくなりますが、ワインの醍醐味のひとつである香りを愉しむことを忘れてしまってはもったいない!
ワインを飲む前にはその香りを存分に堪能しましょう。
香りをたたせるのに軽くグラスを回すのもおすすめです。(ただし、回しすぎると遊んでいるように見えてしまうので気を付けましょう!)

乾杯はワイングラスをぶつけない

乾杯の際、日本ではビールのジョッキやノンアルコールドリンクなどであわせることが多いため、グラスとグラスをぶつけがちですが、ワイングラスやシャンパングラスではNGです。
ワイングラスやシャンパングラスは特にフォーマルなものになるほど繊細なつくりになっておりますので、ビールジョッキなどの間隔でグラスをぶつけると割れてしまうこともあります。
せっかくのお祝いの場が台無しになってしまうことも考えられますので、ワイングラスで乾杯する際はグラスを当てないよう注意しましょう。

ワイングラスでの乾杯の際は、グラスのリム(飲み口)を目線くらいの高さまであげ、相手と視線を交わして軽く会釈するのがマナーです。
これがスマートにできるととってもかっこいいのでぜひ実践してみてください!

ワイングラスの持ち方のマナーあとがき

ということで、ワイングラスの持ち方に関してご紹介しましたがいかがでしょうか。

・ワイングラスの持ち方に正解はないので、場の雰囲気や相手に合わせて持ち方を決める
・NGマナーはしっかりと頭に入れておく

この2点だけ最低限押さえておけば、あまりかしこまらずにワインや場を楽しめると思います。

ワインは品種や製造方法、作り手により千差万別なので、気になったワインは自分で調べてみたり、ソムリエやお店の方に聞いてみるのもいいですね。
ソムリエのいらっしゃる場合はサーブする際にワインの説明やお勧めの飲み方も教えてくれますので、慣れないうちはソムリエのいるお店でいろいろお話を聞いてみるのもおすすめです。

いろいろ試していく中で、自分なりのワインの愉しみ方、ワイングラスの持ち方のこだわりが見つけてみてください。